システム開発におけるストック型とフロー型のビジネスモデル
IT業界では、システム開発会社のビジネスモデルはストック型とフロー型に大別されます。ストック型は一度構築すれば継続的に収益を得られるモデルであり、フロー型は常に新規の案件を獲得し続ける必要があるモデルです。
コーディングの限界と自動化の必要性
コーディングは飽和状態に陥りつつあり、面白みに欠けるため、AIに代替される可能性が高い職種です。さらに、デザインからコーディングまでの一貫した業務を手掛けるWeb制作会社のビジネスモデルも微妙なものとなっています。一方で、大手代理店の下請けとして機能する場合は可能性があるかもしれません。
そのため、自動コーディングの普及が求められています。コーディングの自動化によって、エンジニアの業務は上流工程に移行し、コンサルティング、プロジェクト管理、設計といった領域に特化することが可能になります。
フロントエンド需要とエンジニア採用の課題
フロントエンド開発の需要は高まっていますが、エンジニアの採用が追いついていないのが現状です。この状況は、鶏が先か卵が先かの議論に似ています。需要があっても人材が確保できなければ対応が難しく、一方で人材を先行して確保しても需要がなければ双方にとって不幸な結果となってしまいます。
インフラ運用のストック型ビジネスモデル
インフラ構築と運用はストック型ビジネスモデルに適しています。一度構築すれば、長期的な収益が見込めるためです。また、インフラには高い再現性があり、効率的な運用が可能です。一方、受託開発はフロー型ビジネスモデルとなり、再現性が低いのが特徴です。
自社開発を行うには時間的な余裕が必要ですが、受託案件で時間が取れない場合が多く、時間ができたら次の受託案件の営業に走らざるを得ません。このようにフロー型ビジネスモデルには弱点があります。
言語の採用率は10%程度が一般的ですが、AWSの場合は自社開発企業での採用率が90%と極めて高く、インフラ運用のストック型ビジネスモデルの有望性がうかがえます。
ストック型とフロー型の長所と短所
ストック型ビジネスモデルでは、営業の必要性が薄く、一度構築すれば継続的な収益が見込めます。しかし、収益化までに時間がかかり、一発で大きな収入を得ることは難しい傾向にあります。
一方、フロー型ビジネスモデルでは、絶えず営業活動が必要ですが、大型案件を獲得すればまとまった収入を得られる可能性があります。ただし、案件の確保が不安定であるという課題があります。
ハイブリッドなビジネスモデル
理想的なのは、最初は受託開発を行いながら、インフラ運用やSESなどのストック型ビジネスモデルの収入を少しずつ増やしていくことです。受託開発によってフロー型の収入を確保しつつ、ストック型の収入源を育てることで、安定したビジネスモデルを構築することができます。
IT業界は変化が激しく、ビジネスモデルも常に進化を遂げる必要があります。ストック型とフロー型のハイブリッドなビジネスモデルを意識することで、より安定的かつ持続可能な成長を実現できるでしょう。